メタバース市場は、飛躍的に進化し続け2022年には前年比で投資額が2倍以上に成長を遂げています。
その影響を受けて、国内外の多くの企業が参入を進めています。
近年では、企業だけでなくアメリカの空軍やサウジアラビア、インドネシアなどの政府、公共機関がメタバースを積極的に利用し始めています。
この記事では、「メタバース導入について興味がある」「メタバースを導入する前にもっと詳しく知りたい」という方に向けて、メタバース導入の必要性、実際の導入事例などについてわかりやすく解説しています。
メタバースの導入を検討している個人事業主や企業の方に参考にしていただけると嬉しいです。
ビジネスに導入を検討する前に!メタバースとは何か?
メタバースとは、リアルタイムに多くの人が参加しコミュニケーションと経済活動ができるオンライン上の仮想空間のことです。
一言で説明することは難しく、仮想現実、拡張現実、ソーシャルメディア、オンラインゲームなどの要素が組み合わさって構成されています。
メタバースという仮想的な環境の中で、他のユーザーと対話し活動することができ、ビジネス、エンターテイメント、教育など多くの分野で活用される可能性を秘めています。
メタバースがビジネス業界に注目されている背景
市場規模の拡大
メタバース事業が注目されている要因の1つに、これからの市場規模の拡大予測があげられます。
世界の主要な業界、市場調査や消費者動向に関するデータや統計を提供する世界最大級のプラットフォームであるStatista(スタティスタ)によると、2021年の世界市場規模は4兆2640億円のものが
2030年には約78兆円に拡大すると予想されています。
大手企業の参入
皆さんの記憶にも新しいと思いますが、Facebook社がMeta社に2021年10月に社名を変更し、メタバースに本格的に参入を始めました。
また、Microsoft社が2023年10月に3D空間でWeb会議ができる「Microsoft Mesh 」のプレビュー版の公開を明らかにしています。
世界で最大のユーザー数を誇る巨大ゲーミングプラットフォームのRoblox。
2022年に新しいメタバース広告事業を始めており、企業やブランドが作成する仮想空間の集客向けにゲーム内広告を展開しています。
国内でも日産自動車、ソニーミュージック、博報堂、みずほ銀行など各分野の大手企業がメタバースへの参入を表明しています。
また、一般企業だけでなく国土交通省、鳥取県、新潟県長岡市山古志村などの自治体もメタバース事業の取り組みが活発に行われています。
ここでは紹介できない程の数多くの企業がメタバースへ参入しており、注目度の高さが伺えます。
Web3技術の進歩
メタバース事業が注目される背景には、ブロックチェーンやNFTなどのWeb3技術の発展が大きく関わっています。
ブロックチェーン技術は、土地やアバター、デジタルアイテムなどのデジタルアセットをNFT(非代替トークン)としてトークン化しデジタル資産の所有権を証明することができます。
メタバース内では、企業や個人が土地やアバターが身につけるアイテム、デジタルアートなどをNFT化し、売買することで経済活動を生み出すことができるのです。
そのため、ブロックチェーンなどのWeb3の技術の進歩がメタバースの発展に非常に重要な役割を果たしています。
メタバースの導入の必要性
企業にとってビジネスを成長させるためにメタバースの導入は必要でしょうか?
その答えは「YES」です。
必要な理由として、大きく3つ挙げられます。
- 企業価値の向上が可能
- 顧客エンゲージメントの向上
- 新たな収入源の創出
1 企業価値の向上が可能
メタバースは企業の存在価値を向上させることができます。
企業の存在価値を高める理由の1つとしては、没入型の体験ができることです。
バーチャル環境の中で視覚的、聴覚的、体感的な要素を組み合わせ、顧客に対して新たな体験を提供することができます。
例えば、Meta社が販売しているMeta Questのようなヘッドセットを使用することでより完全な没入体験をすることが可能です。
顧客が熱中できるリアリティの高い体験は、顧客の記憶、印象に残りやすく、企業のブランドメッセージや製品情報をより効果的に顧客に伝わるでしょう。
メタバースは、より効率的に企業の存在価値を高める可能性を秘めています。
2 顧客のエンゲージメントの向上
Web2時代のメインツールであるECサイトでは、企業と顧客との関係が一方的なものでした。
メタバース内では顧客とリアルタイムに会話することができ、企業と顧客がより密接な関係を築くことができます。
また、メタバース内でバーチャルイベントを開催し顧客と共通した体験をすることで、同じような趣味や関心を持つ顧客同士の交流の場を提供することができます。
これらの要因により、メタバースは顧客とより良い関係を築くためのプラットフォームとして活用され、顧客のエンゲージメントを向上に役立つでしょう。
3 新たな収入源の創出
メタバース内では、企業にとって新たな収入源を生み出すことができます。
具体的なものとして、以下のようなものがあります。
- デジタルアイテムの販売
- バーチャルイベントとチケット販売
- バーチャルプラットフォームの設立
- バーチャル広告とスポンサーシップ
1 デジタルアイテムの販売
メタバースの中で販売されるデジタルアイテムは、いくつかあります。
仮想の土地、アバターアイテム、仮想の車両や乗り物、デジタルアートなどです。
具体的にはRobloxを見てもらうとイメージしやすいです。
多くのユーザーは自分のアバターに好きな衣装やアイテムをRobuxというプラットフォーム内通貨で買い、身につけることで自分だけのオリジナルアバターを作成しています。
バーチャルイベントとチケット販売
メタバースと現実を融合させた多くのイベントが開催されています。
その中で、チケットやグッツなどが販売され大きな経済効果をもたらしています。
2023年10月現在、メタバースイベントとして開催された主なものをご紹介します。
それぞれのイベントが個性があり、これから今まで以上に盛り上がる可能性を秘めています。
バーチャルプラットフォームの設立
企業はメタバース内で独自のプラットフォームを設立し、そのプラットフォームの中でビジネスを展開することができます。
具体的には、Roblox、Decentraland、sandbox、Xanaなどが挙げられます。
ゲーム開発に特化したもの、アバターのクオリティが高いもの、メタバース内でエコシステムを構築しようとするものなど、それぞれのプラットフォームには特徴があります。
バーチャル広告とスポンサーシップ
メタバース内のバーチャル広告とスポンサーシップも企業の大きな収入源となります。
バーチャル広告では、メタバース内に広告スペースを作る、AIアバターを配置しPRさせるといった方法があります。
メタバース内でイベントやコンサートを開催し、企業がスポンサーとして参加することで、不特定多数のユーザーに向けブランドを露出することができます。
メタバースの導入事例
ここでは、実際にメタバースを導入した国内外の企業をご紹介します。
メタバースを活用している海外企業
メタバースを活用している国内企業
有名企業がメタバースをどのように活用しているか
いくつかの有名企業がメタバース内でどのような事業展開をしているかご紹介します。
NIKE
世界のスポーツメーカー売り上げトップを走るNIKE。
2021年11月大人気オンラインゲームプラットフォームRobloxに「NIKELAND」を作成しました。
ユーザーは、鬼ごっこやドッジボールなどゲームを楽しめます。
また、Robloxのアバター身につけることができる靴や衣装などNIKEのコラボ商品を購入することができます。
2022年2月にNBAスター選手レブロンジェームス氏を「NIKELAND」に招待し、大規模なイベントが開催されました。
レブロンとファンがメタバース内で、バスケットゲームを楽しむなど、現実世界では体験できないようなファンとのコミュニケーションの場を作り上げていました。
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
国内ゲーム業界のトップを走る株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの代表取締役社長である松田洋祐氏は、2022年1月1日の年頭所感で今後のメタバース事業への参入について言及しています。
年頭所感の中で「トークンエコノミーがゲームの在り方を変える可能性がある」という考えを示し、今後は「Play -to-Have Fan(遊んで楽しむ)」から「Play-to -Earn(遊んで稼ぐ)」というGameFiへユーザーの関心が向くことを示唆しています。
今後の展開については、明確になっていませんがスクウェア・エニックスがどのように分散型ゲームを展開していくのか注目です。
メタバース導入までのプロセス
メタバースを導入する上で、いくつかの大切なステップがあります。
- 目的と目標の明確化
- ターゲットオーディエンスの特定
- 市場調査と分析
- Web3関連技術の総合的な理解
- プラットフォームの選定
- コンテンツと体験の設計
- 実装計画とリソース配分
1 目的と目標の明確化
どんな事業をする時にも必要なことですが、メタバース事業を展開する上で目的と目標の明確化が重要です。
具体的には「ブランドの知名度の向上」「新規ユーザーの獲得」「新商品の創出」などが挙げられます。
その中で、短期的な目標と長期的な目標設定をすることが必要です。
2 ターゲットオーディエンスの特定
メタバースで獲得したい顧客層を特定します。
そして、顧客のニーズ、関心、習慣を調査し、それに合わせたSNS戦略やメタバースまでの導線を考える必要があります。
3 市場調査と分析
メタバース事業は、2023年から2025年にかけて急速な成長が予想されています。
その中で、市場規模、競合他社、ターゲットに関する調査と分析をしなければなりません。
4 Web3関連技術の総合的な理解
メタバースを効率的に活用するためには、ブロックチェーンやAI、NFTなどのWeb3関連の技術に関する総合的な理解が必要不可欠です。
メタバース内では、仮想通貨やブロックチェーンの技術基盤とした新しい経済圏であるトークンエコノミーの世界を作ることができます。
また、メタバース内で企業がデジタル上の新商品を創出するためには、NFT(非代替性トークン)の知識が求められます。
5 プラットフォームの選定
メタバースの世界を作成するにあたり、どのプラットフォームを選ぶかもビジネスを成功に導く鍵となります。
現在注目されているプラットフォームは、以下の通りです。
各プラットフォームには、それぞれの特徴があり企業が目指す目的や目標、ターゲットの年齢層などに応じて、最適なものを選択する必要があります。
6 コンテンツと体験の設計
メタバースを導入する際、ただ闇雲に導入してはいけません。
ユーザーが惹きつけられるコンテンツや体験をメタバース内に設計する必要があります。
具体的には、メタバース内での音楽イベントやバーチャルアート展示会の開催などです。
メタバース空間での熱狂やユーザー同士の交流の場を作り出すことが、ユーザーを惹きつけるコンテンツの作成や体験に繋がってきます。
7 実装計画とリソース配分
プロジェクトを運営する上で、メタバース事業だけに限ったことではありませんが、プロジェクトの規模に応じて、人材、技術、時間、プロジェクトの予算を計画することが必要です。
メタバースの今後の将来性
メタバースの将来性は、2023年現在多くの課題はあるものの、広範囲な分野で多様な可能性を秘めています。
新たなソーシャルメディアとしての変化
メタバースは、今までのインターネットの時代から新たなソーシャルメディアの形として進化を遂げるでしょう。
そして、人々がバーチャル空間で交流し、コミュニティを形成していく新しい時代が近い将来来るはずです。
ビジネスと職場環境の変化
コロナの影響で、リモートワークを取り入れた企業も多いと思います。
メタバースは、リモートワークとバーチャルコラボレーションのためのツールとして、ビジネスの形態をさらに変化させる可能性があります。
エンターテイメント業界の進化
ゲーム、映画、音楽などのエンターテイメント業界がメタバースとの相性が良く、これから大きな改革が起きる可能性があります。
具体的には、よりリアルで没入感のある体験提供、3D空間やVRを用いた360度のリアル体験、バーチャル空間でのアーティストとファンのより密接な交流など。
メタバースがエンターテイメント業界にもたらす影響を考えると、まだまだ挙げることができます。
今後エンターテイメント業界がどのように変化していくのか楽しみですね。
まとめ
先ほども記載しましたが、メタバースの市場は今後も急速に伸びていくと予想されています。
多くの企業がメタバースを導入していくことは、必然のことと言えるかもしれません。
進化のスピードが著しいメタバース分野で、競合他者との差をつけるのは、いかに早く導入できるかが成功の鍵になります。
まずは、メタバースを実際に利用し、体験してみることから始めてみることをお勧めします。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。
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